インプラント概論

No.32完璧な虫歯除去が最善な治療だろうか

完璧な虫歯除去が最善な治療だろうか

私が学生の頃は、虫歯は完全に除去するように教えられました。
当たり前のようですが、虫歯が残っていると再発するからです。
しかし、完全に虫歯を除去すると、どんどん神経(歯髄)に近くなってきます。
場合によっては歯髄を除去しないといけなくなります。
あるいは、虫歯治療の後に痛みが出てきて、結局歯髄の除去が必要になることがあります。
実はこのようなことが多くおこるのです。
患者さんは虫歯を治療したのに痛みが出ることに不信感を覚えます。
虫歯が残っているのではないかと疑問に思うのです。
下記のレントゲンは私が卒業したての頃、同級生が私の歯の治療した30年後です(レントゲン)。

治療中、同級生は私に質問してきました。
このままでは明らかに神経を取る(抜髄)することになるがどうしようか?私はこれ以上虫歯を除去しないでほしい。痛みが出たらその時神経をと取る(抜髄)するから。
この30年間、まったく痛みも出ず、快適に過ごしているのです。
レントゲンでは歯髄が石灰化した様子が観察されます(スライド)。
虫歯治療歯髄
虫歯の再発はありません。
もしも抜髄していたらどうなっていたでしょう。
歯根の先に膿がたまって抜歯になっていたかもしれません。
虫歯治療の負のスパイラルになっていたかもしれません。


虫歯治療の負のスパイラルを示します。

虫歯の除去

  ↓

痛みがでて、抜髄

  ↓

歯の根の先に膿がたまる

  ↓

抜歯

もちろん、虫歯を取り残すと再発して、痛みがでる可能性もあります。
しかしながら、虫歯を完全に除去するが故に、抜髄の時期が早まることもあるのです。
虫歯が再発するよりも早く抜髄になるということです。
抜髄の時期が早まるとは、抜歯の時期が早まる可能性があるのです。
この議論について、的確な回答はありません。
歯科医師が患者と話し合いながら治療方針を決めていくしかないでしょう。
最近、近藤誠先生が癌の積極的な治療を勧めないことと似ています。
ただ、むし歯治療の前に痛みなどの症状があった場合は抜髄したほうが無難です。
(2016年12月27日)

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