インプラント概論

ソケットリフトに短いインプラントは有効か

どんな場所でも長くて太いインプラントが理想です。
しかし、理想的ではない条件の部位にインプラント埋入をしなければならないことがあります。

上顎大臼歯部の場合、上顎洞があるため垂直的骨幅が足りないことがあります。
この場合、岸本歯科ではソケットリフト法でインプラント埋入を行うのですが、上顎洞の内側に上顎洞粘膜があり、その粘膜をいかに破らないようにソケットリフト法を行うかが重要です。

破れてしまうと骨ができてこないのです。
長いインプラントを埋入したくても、長くなればなるほど、上顎洞粘膜が破れるリスクがあがります。
その場合岸本歯科では長さ6ミリの短いハイドロキシアパタイトコーティングインプラントを使用しています。
上顎洞粘膜が破れるよりもショートインプラントのほうが良いと考えるからです。
その有効性を論文にしました(Kishimoto:Clinical evaluation of transcrestal sinus floor elevation using HA-coated short implants without bone graft, J Bio-Integ 2,:141-148,2012)。

しかしその後脱落する例が出てきました。
再度インプラント埋入を行う例が出てきたのですが、予想外のことが起こっているのです。

インプラントは残念ながら脱落したのだけれど、垂直的骨幅が増えているのです。
いろいろ調べてみたのですがそのような報告は見つけることができませんでした。
インプラントに関する論文はほとんどがチタンインプラントを使用しています。
おそらくこの現象はHAインプラントに特有な反応ではないかと思います。
詳細はバイオインテグレーション学会雑誌で報告しました(Kishimoto: Transcrestal sinus floor elevation using HA-coated implants without bone grafts: A 10-year retrospective clinical study, J Bio-Integ 5:119-124,2015)。

世界で初めての報告ではないかと思います。

写真1はインプラント埋入前の状態です。
ソケットリフト1
垂直的骨幅が足りないのがわかります。

写真2は6ミリのショートインプラント埋入後、被せものが入っている状態です。
ソケットリフト2
写真3および写真4は3年間インプラントが機能したあと、脱落した後のレントゲンです。
ソケットリフト3 ソケットリフト4
垂直的骨幅が増えています。

図5は再度インプラントを埋入したあとのレントゲンです。
ソケットリフト5
インプラントの長さが6ミリから8ミリに変わっています。
最初のインプラントが脱落したのは残念ですが、このように再度インプラントできることがあります。

最初からサイナスリフトで骨移植をすればよいではないかという意見もあると思います。
しかしその場合の手術侵襲は大きいです。
うまくいかないと骨の再生が得られないことや、手術による上顎洞炎がおこることもあります。
なるべく行わないほうが良いと考えています。
(2017年11月30日)

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2017 shinjyuku Kishimoto-dc

関連記事

院長のインプラント概論

ページ上部へ戻る