インプラント概論

No.28インプラント治療の功罪・NHKクローズアップ現代によってインプラント治療を諦めてしまった

インプラント治療の功罪

数年前、NHKのクローズアップ現代という番組で、インプラント治療の特集がありました。
インプラント手術による死亡事故や神経麻痺、あるいは歯科医師が経営を支えるためにインプラント治療をすすめているような内容でした。

インプラント治療の負の部分が協調された番組に思えました。
私は番組の内容をすべて否定するわけではありませんが、もう少し公平にインプラントの良い部分も報道すべきだと思いました。

私の診療室でも、インプラント治療がうまくいき、よく食事がとれているにもかかわらず、クローズアップ現代を見たあと、今後はインプラント治療を希望しない患者さんもでてきました。
私は、この番組の影響でインプラント治療を行えばよく噛めて、快適な生活がおこなえる方々を不便な状況にしてしまっている気がします。

そこで今回は、インプラント治療以外に解決の方法が難しかったと思われる患者さんを紹介したいと思います。この方は右上奥歯の欠損および左下奥歯がグラグラして噛むことが不便であるため来院しました(パントモ1)
pantomo1

前歯を主に使って食べている方でした。
右上奥歯が欠損のため右下奥歯が役にたたず、左下奥歯がグラグラしてるため左上奥歯が役にたたないのです。結果的に左右の奥歯で噛めないのです。
このような患者さんに入れ歯をいれた場合、入れ歯によるかみ合わせの維持は大変に難しいのです。
入れ歯側が自分の歯に負けて、噛むたびごとに入れ歯がしずみ、歯肉が痛いのです。
右でも左でも噛めないのです。
このような状態の場合、インプラント治療が大変有効です。
この患者さんに行ったインプラント治療を紹介します。
まず、右上奥歯にインプラント治療を行い、右側で食べられるようにしました
(パントモ2)。
pantomo2

そのあと、左下奥歯にインプラント治療を行い、左側でもよく噛めるようになりました。右側でも左側でもしっかり食べられるのです
(パントモ3)。
pantomo3

さらに、少しづつ歯を失い、その度ごとにインプラントを植立するようにして、しっかり奥歯でのかみ合わせを維持するようにしています
(パントモ4)。
pantomo4

しかも今回紹介したケースでは噛む力が強くて入れ歯ではとても解決できるとは思えません。

クローズアップ現代を見て、インプラント治療をあきらめてしまい、入れ歯を選んだ患者さんたちは苦労していると思います。
番組制作のスタッフにもよく知ってほしいのです。番組の影響力の大きさを。
2016年2月1日

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