インプラント概論

No.17ワンピースと2ピースどちらがいいの?

いろいろなインプラント関係のホームページをみてみますと、ワンピースインプラントに否定的な見解を持っている先生が多いように思います。
ここでは岸本歯科医院の考えをのべます。

先ず、ワンピースインプラントと2ピースインプラントの違いを知る必要があります。
ワンピースは1本の棒のような構造です。2ピースインプラントは根の部分(フィクスチャー)と土台の部分(アバットメント)にわかれます(前歯の1ピース・2ピースインプラントの項参照)。
フィクスチャーとアバットメントをネジで連結します。
1回目の手術でフィクスチャーを顎の骨に埋入し、インプラントと骨が結合したころ2回目の手術でアバットメントをフィクスチャーにネジで留めることになります。

ワンピースインプラントに否定的な見解は次のようになります。

  • 手術直後にインプラントが歯肉に突き出ているので、インプラントが安定する間、感染しやすいのではないか?
  • インプラントが骨に結合するまでに、噛んでだめになるのではないか?
  • インプラントを斜めに植立しなければならない時、方向が補正できないのではないか?
  • 前歯には向かない。

岸本歯科医院の見解は以下のとおりです。

  • ワンピースであることによる感染は経験していない。
    しかしながら、生着率が100%であるというわけではない。生着しなかった例は、顎の骨がもともと少なく、リスクが高かった例である。
  • 結合するまでにインプラントを噛んでダメになった例はない。あやまって噛んでしまいそうな場合、2ピースを採用している。
  • 斜めに植立しないよう、方向には細心の注意をはらっている。どうしても方向に問題がある場合2ピースを採用している。
  • 前歯には積極的にワンピースを採用している。2ピースよりメリットが大きいと考えている。詳細は前歯の1ピースインプラント・2ピースインプラントの項参照してください。

一方、2ピースインプラントには注意すべき点があると考えています。
フィクスチャーとアバットメントをつなぐネジの緩みです。インプラントは24時間働いています。常にインプラントに力がかかっています。ネジがゆるんであたり前だと考えています。
また、ネジが折れることもあります。当院ではネジのゆるみや折れてしまうということから、2ピースインプラントはなるべく使わないようにしています。
他の医院で植立されたインプラントのネジがゆるんだり、折れてしまった例を多数みています。正直、そのような患者さんにどのように対応していいか困っています。
完璧なインプラントシステムは存在しないと考えています。そのためワンピース・2ピースインプラントを使い分けて治療することが最善だと思います。
かつてwindowsユーザーとMacユーザーに壁があった時代がありました。
Macで作製されたメールがwindowsで読めないことがあったりしました。「Macユーザーとは話もしたくない」と言うひともいたほどです。
同じようなことが、ワンピースインプラントを採用している歯科医師と2ピースインプラントを採用している歯科医師にあるように感じでいます。
話はそれますが、ハイドキシアパタイトインプラントを使う歯科医師とチタンインプラントを使う歯科医師にも深い溝が存在します。
はじめから相手の存在を認めないではなく、お互いのよい点を評価しあう発想が必要だと思います。

最近、ジルコニアインプラントが出てきました。金属色がないので、前歯に植立すると歯肉がきれいなピンク色のため、審美的であることから、採用している歯科医師を増えてきているようです。
しかしジルコニアインプラントはワンピースインプラントです。今までワンピースインプラントに否定的な先生たちがジルコニアインプラントを使用するのには不思議な感じがします。
(2012年12月12日)

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