インプラント概論
10.182018
いい先生は抜歯をすすめる
いい先生は抜歯をすすめる
どんな方でも、抜歯をすすめられていい気はしません。
私たち歯科医も、患者さんに抜歯をしなければならないことを伝えるのは気がひけます。
ひと昔前までは、歯を抜きたがらない先生は良い歯科医師と考えられていました。
「もうこの歯はもたないけど、様子をみましょう。」
「だましだまし、使いましょう。」
なんとなく優しい先生の気がしますよね。
しかし、インプラントを行う歯科医師にとっては、ちょっと言いづらい言葉なのです。
なぜなら、悪い状況の歯を抜かずにそのままの状態にしておいたら、歯の根の周りの骨がどんどん吸収してしまって、インプラントが入れられなくなってしまうのです。
図1は歯の根が割れているのを、そのままにしておいた方です。
歯根の周りの骨が大きく吸収しています。
こうなるとインプラント治療が難しくなります。
骨造成術など、より難しい処置が必要になることもあります。
私はどうしても抜歯せざるを得ないと考える場合、抜歯を勧めています。
ただ、患者さんが難色をしめすこともあります。
そのような場合は、ほかの先生の意見も伺ったらどうかとお伝えしています。
複数の歯科医師の目で、抜歯を判断して、患者さんに理解してもらうのが重要と思うからです。
抜歯のはなしをすると、患者さんが来なくなることを歯科医師は知っています。
「あの先生はすぐ歯を抜く。」 と言われるのを恐れています。
ついつい抜歯をすすめるのを躊躇してしまいます。
しかし、hopelessな歯をそのままにしておけば、インプラント治療がより困難になることも分かっています。
勇気をもって抜歯をすすめるのもいい先生の条件のような気がします。
(2018年10月15日)