インプラント概論
11.52019
隣接面虫歯の積極的治療介入は有益か?
隣接面虫歯の積極的治療介入は有益か?
岸本歯科では安易な虫歯治療はむしろ歯を失うことにつながると述べてきました。同様なことを週刊誌に載せる医療ジャーナリストもいます。そのような評論家の意見の最近のながれは
・金属をなるべくつかわない。金属を使うのは日本だけである
・なるべく、レジンを使うべきである。
という論調です。
有名なレジン治療を研究する教授の見解に従った論調です。
しかし、安易なレジン治療には反対です。
レジン治療は術者の技術にかなり左右される治療法です。
特に、隣接面う蝕の治療はかなり技術を要します。
隣接面う蝕とは、歯と隣の歯が接触する部分にできる虫歯をいいます。
不確実なレジン充填はかえって虫歯の進行を早めてしまいます。
有名な教授はレジンを専門に研究しているレジン充填の達人です。
当然、一般的な歯科医師よりレジン充填はうまいでしょう。
大学ですので時間もかけられるでしょう。
一般的な歯科医師は隣接面の虫歯治療は金属を使用したインレーのほうが無難です。
金属インレーを行わない傾向は、金属の価格も影響していると思います。
医療費を抑制する必要があるため、国も金属修復を行わない治療に誘導しているのではないかと考えています。
さらに、レジン充填は白いので、患者さんにとっても受け入れやすいのです。
しかし健康のためですから、私は隣接面の虫歯治療は金属インレーを行うことが多いです。
もちろん、金属アレルギーの患者さんに行うことはありません。
繰り返しますが、隣接面のレジン充填は難しいので、不完全な治療になってしまうとかえって虫歯を広げてしまいます。
私は隣接面の虫歯治療にレジン治療が一般化したら、数年後に虫歯が進行してしまって神経を取らなければならない歯がふえるのではないかと心配しています。
また、隣接面う蝕は気づいたときには進行していることも多いのです。
大きくない虫歯だと思って虫歯治療を開始したら、虫歯が深く進行していることもしばしば経験します。
隣接面う蝕は初期う蝕の時期に金属インレーによる積極的な治療介入が歯の寿命をのばすことになるのではないかと考えています。
一般的に、金属色が気になる患者さんに行う隣接面う蝕に対する白いインレー修復は、ハイブリッド、ジルコニア、emax(二ケイ酸リチウムガラス)が多く用いられています。
岸本歯科ではナイロン素材のTUMインレーをすすめています。
金属以外では適合性が一番いいように思います。
隣接面う蝕の治療には費用はかかりますが、金を使用したゴールドインレーが一番いいと思います。
(2019年10月23日)