インプラント概論

抜歯とインプラントは同じ医院で―最適なインプラント埋入時期を知るために―

抜歯とインプラントは同じ医院で―最適なインプラント埋入時期を知るために―

抜歯をしてからインプラント埋入までの待機時間によって、

抜歯即時埋入 immediate placement、
抜歯後早期埋入 delayed placement、
抜歯後待時埋入 late placement

の3つに分類されます。

抜歯即時埋入とは、抜歯と同時にインプラント埋入を行うことです。
抜歯と手術が1回で終わるというメリットがありますが、デメリットもあります。
抜歯してみたら、インプラントを埋入して固定が得られる充分な骨がないこともあります。
その場合、骨移植などの侵襲性の大きい治療をするか、インプラント埋入を中止して、骨の回復を待つかの選択をしなければなりません。

抜歯後早期埋入とは、抜歯後おおむね2週間後から8週後の間にインプラント埋入をすることをいいます。
抜歯後2週間は、抜歯した部位に歯肉が覆いかぶさってくる期間です。
抜歯した部位が歯肉でふさがるということで、歯肉の下にはまだ骨はできていません。

抜歯後待時埋入とは、抜歯後6か月ぐらい後にインプラント埋入を行うことをいいます。
抜歯した部位に骨が回復してきてから埋入を行うということです。

岸本歯科医院では抜歯後早期埋入delayed placementが多くおこなわれています。
ただ、やみくもに早期埋入をしているのではありません。

抜歯の時に歯根の周りにある感染した悪い組織を完全に掻把除去し、実際のインプラントと同じサイズのゲージを試適してみるのです。
ゲージが入っていかないようならokです。
インプラントは初期固定を獲得できると判断されます。
抜歯後早期埋入delayed placementが適応だと判断されます。

ゲージが簡単に入って、ゆるゆるの状態ならばダメです。
インプラントは固定されないことを意味します。
抜歯後待時埋入late placementを検討します。

写真を見てください、

implant-gauge

→はインプラントを、→は同じサイズのゲージを示しています。
ゲージには3種類あります。

抜歯後早期埋入delayed placementのよさはインプラントの治療期間が短くなるだけではありません。
歯肉の治癒を待ってから手術を行うので、インプラント周囲を完全に歯肉でふさぐことができます。
抜歯即時埋入immediate placementは時にはインプラント周囲を歯肉で完全に覆うことができないことがあります。

簡単に言うと、歯肉が足りなくなることがあるのです。
その場合対応策として、歯肉を広範囲に切り広げて減張切開を施すことがあります。
抜歯後早期埋入ではその必要がありません。

また、抜歯後早期埋入delayed placementでは歯根のまわりの感染した組織を除去した後、抗生物質を投与して細菌を排除する時間がとれます。
抜歯即時埋入immediate placementでは細菌が残る可能性が出てくるのです。

もちろん、根端病巣のないような歯の場合、歯根周囲の感染組織がないと考えられますので、抜歯即時埋入もいいと思います。

抜歯後早期埋入delayed placement、抜歯後待時埋入late placementどの埋入法をすべきか判断するためにも、抜歯とインプラント埋入は同じ医院で行うことをお勧めいたします。

(2020年10月19日)

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