インプラント概論

No.45いつ歯をみがいたらいいのだろう?

いつ歯をみがいたらいいのだろう。

食後3回3分以内に3分間歯を磨きましょう!とよく言われていました。
基本的にはそれでいいと思いますが、最近、几帳面な方で、特に女性の患者さんの中で「歯がしみてしょうがない」と訴えるかたが増えてきました。

よくよく聞いてみますと、食事のあとすぐ歯を磨いています。
痛いけど歯が悪くなるといけないから、我慢してみがいていますとおっしゃいます。

また、果物が大好きですとおっしゃるかたも多いです。

このような患者さんには、果物を食べた後、うがい程度にしておいて、1時間ぐらいたってから磨いてくださいとお話ししています。

口の中が果物で酸性に傾くと微妙に歯の表面が柔らかく(脱灰)なります。
そこにいきなり硬い歯ブラシで研磨剤入りの歯磨きを使って歯を磨くと歯の表面が傷ついて痛みの原因になります。

なぜ食後3分以内に歯を磨くのかといいますと、歯垢中の虫歯菌がお砂糖を餌にして酸を産生して歯を溶かし始める時間が3分から5分ぐらいだからです。

これをステファンカーブ(stephan curve)といいます。
食後3分以内に歯を磨いて、虫歯菌が酸を産生する前に歯垢を取ってしまおうということです。

でも、あくまで長くついている歯垢中の虫歯菌の場合であって(成熟した歯垢)、ついたばかりの歯の食物残渣の中では酸は産生されません。

つまり、きれいに磨かれた歯であれば、食後食べ物のカスが歯についても虫歯菌はすぐには酸を産生しないことになります。

理論的に歯垢中の虫歯菌が酸を産生できるようになるまで成熟するには、24時間ぐらいだろうと考えられています。
この理論が正しいとすれば、24時間に一度歯を磨けばいいことになります。
しかし、歯ブラシで100%完璧に歯の表面の汚れをきれいにおとすことは不可能ですので、この理論は机上の空論ということになります。

また、この理論は虫歯菌でのことで、歯周病菌は別になります。

したがって、食後3回程度が歯ブラシの目安になります。
また、唾液の緩衝能も考える必要があります。果物や酸性の強い食べ物を食べても、唾液の緩衝能が強い方であれば、口の中が酸性になっている時間は短いと考えられます。


果物や酸性が強い食べ物が好きな方で歯ブラシ時に痛みを感じる場合、食後すぐに歯ブラシをすることは避けたほうがいいでしょう。
うがい程度にして、しばらくたってから歯磨きをしたほうが無難です。

もちろん痛みの原因が虫歯でないことが前提です。

(2018年5月30日)

関連記事

院長のインプラント概論

ページ上部へ戻る